木の芽時

春は木の芽時と言う。
木の芽時には気分が躁になりやすいようだけど
私は逆に憂うつな気分になってきています。

世の中は春の気配にワクワクウキウキしているというのに、私の生活は…

最近の母は便意を感じなくなってきたようで、
トイレ行く?と聞いても行かないと言うばかり。
大便も私が臭いで感知して「出たの?」と聞いても「出てない」「してない」と言う。でも紙パンツの中にドッサリ。
以前は出た自覚があったのに今はもうなくなってきたみたいだ。

母は下剤を飲まないと大便が出ない。が、下剤を飲んだら下痢便になる。
食事の量を考えて1日か2日おきに下剤を飲ませるので、その度に翌日は下痢便の始末をしなくてはならない。
こんなこと、身内でないとやってられないと思う。
私が母を介護施設に入れない理由のひとつでもある。
介護職員の方はいくら仕事とはいえ、他人の婆さんの下痢便を毎度毎度処理するのは耐えがたいだろうと思う。

私でも嫌になる。鬱になる。
けれど下剤を飲まないと全く出ないから飲まさざるをえない。
下痢便は1回で済まないので出る日は1日中下痢便の始末に追われる。
どんどん気分が落ち込んで行く。

今日は下痢便の日だったので気分は最悪。でもまあ、シーツや服を汚さなかっただけ良しとしなければ。

本当に、しゃきしゃきしてきれい好きだった母が懐かしい。もう二度とあの頼もしい母には会えない。悲しい。

「本当に、わからないのよ…」
珍しく母がしゃべった。
何がわからないのか聞いたら
「あんな高い所から、こんな低い小さい便器にオシッコが入るわけないでしょう?」
と言った。
誰のことか聞いてみたらわからんと言った。
何のことやねん。誰のことやねん。
はあ…

今日も1日が終わる。
毎日がむなしい。